それはそれで、大正解です。
しかし、今回は別の話です。
同じタイトルのイギリス映画があるんです。
その映画『SCUM』は、本国イギリスで”X指定”、
その上イギリスのいろいろな媒体の選出するランキングで、
”行き過ぎてしまった映画のシーンTOP10”の第3位になったり、
”気が滅入る陰鬱な映画Top30”の第19位に選ばれたり、
見る前に、見たくなくなるような情報ばかりが入ってくる映画です。
実は、この映画の字幕監修をやりました。
1979年の映画なんですが、いままで一度も日本で上映されていなくて、今回が初上映の運びとなりました。
どんな映画かといえば、”囚人もの”映画です。
それも、少年院。
暴力的な支配関係と、管理システムを描いているので、『時計仕掛けのオレンジ』と同じ流れにあるようにも見えます。
(やっとここで、先月のCock Sparrerと繋がった:強引だね)
レイ・ウインストン
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『さらば青春の光』ではロッカーズ役
『長距離ランナーの孤独』
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いかにもイギリスらしい雰囲気
『SCUM』
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There's Gonna Be A Borstal Breakout
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『さらば青春の光』ではロッカーズ役
『長距離ランナーの孤独』
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いかにもイギリスらしい雰囲気
『SCUM』
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There's Gonna Be A Borstal Breakout
この作品、元々はBBCのテレビドラマとして1977年に作られたんですが、あまりにも過激なため”放映禁止”になってしまい、映画としてリメイクされたものなんです。
主演はレイ・ウインストンで、見覚えあるなあと思ったら、『さらば青春の光』で、主役ジミーの幼なじみのロッカーズ、ケヴィン役の人でした。
風呂場のシーンで”Be Bop A Lula ”を歌っている男です。
さらに『さらば青春の光』の主役ジミー、フィル・ダニエルズも登場してきます。
それならば”『さらば青春の光』のアナザー・ストーリー的な見方もありかな”なんて、安直に思ってしまうのですが、どう見たって、そんな気分にはなれないエグイ作品です。
何しろ、暴力に次ぐ暴力なんですから。
イギリスの社会制度というか支配制度や階級社会をまざまざと知ることが出来ます。
『長距離ランナーの孤独』で知ることの出来る、イギリスの少年院の実情を、もう一つ深く見せてくれている。
日本で生活していると理解し難いところもあります。
同じ英語を話しているけど、階級によって言葉使いが違うなど、字幕を追ってみる分には、そのニュアンスが分からないところになるので、この辺りは気を使いました。
昔の日本映画を見ると、東京の山の手言葉と下町言葉の違いがあるのと同じようなもんですけどね。
余談ですが、先日公開されたCRASSの映画『ゼア・イズ・ノー・オーソリティ・バット・ユアセルフ』を見たら、ペニー・リンボーの話し方が、日本で言う”山の手言葉”でした。
やっぱり”アッパーミドル”階級の教育(パブリック・スクール出身)を受けた人なんだと、話す言葉で階級の分かる国”イギリス”を垣間見ました。
さて『SCUM』ですが、1970年代の話なので、様々な点で見所があります。
軽いところでは、ファッションと云う観点で見ると、現在との差を感じ取ることも出来ます。
とはいっても、イギリス映画の正統的な気が滅入る空気があるので、気の弱い人にはあまりお勧めできません。
上記にあげた作は1960年代~1970年代のイギリスの社会を描いたものなので、次は1980年代の映画に突入するのです。
そう、ティム・ロスのスキンヘッド姿が格好良い『Made In Britain』です。
この作品、実は監督が『SCUM』と一緒です。
アラン・クラーク!
続いて、『This Is England』でフォークランド戦争によって傷ついたイギリスの社会に生きるガキの実態を見て下さい。
1980年代、マーガレット・サッチャーの時代。
”アベノミクス”でいまの日本が目指している”新自由主義”社会の歪みを、映像で一足先に体験して下さい。
音楽は時代を反映するものだけど、映画も同じように時代とリンクしています。
音楽を聴いただけではどうしても理解できない背景を、映像で確認して理解を深めることも良いかと思います。
『SCUM』は、全く音楽がかからない、映像でみせる作品ですが、私の頭の中では、FACESの曲が鳴り響いていました。
CREDIT: TAYLOW / the原爆オナニーズ