今回は、”パンクの検証”はお休み。
久しぶりに、気軽にいきます。
いろいろなところで、2013年のべストアルバムが選ばれています。
と言う事で、私が2013年に入手した作品で気に入っているものを紹介します。
HOT LUNCH / HOT LUNCH
HOT LUNCH (Tee Pee TPE-155)
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スケボー・ジャケットなのだ!
こいつら、どこのベストアルバム選出にも出てきません。ファイル 34-1.jpg
スケボー・ジャケットなのだ!
若い!
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ライブ風景
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フライヤーもスケボー写真なのだ!
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(with The Shrine)
そりゃあ、そうでしょ。あまりにも大馬鹿で古いハードロックなんだから。
ハードロックでスケボーな連中、Hot Lunch。
アメリカはサンフランシスコ出身の4人組のファースト・アルバム。
一体、今はいつなんだ!と思わせるようなアルバムです。
どう聴いたって、1970年代前後のハードロックだからね。
”漲るパワー”と言えば聞こえがいいけど、一切引きの無い「Handy Denny」でスタートするこのアルバム、Iggy And The Stoogesの『Raw Power』やHead Over Heelsの「Roadrunner」を初めて聴いたときの爽快感みたいなのがあります。
早い話、デトロイト・スタイルのごり押しハードロックと言う事です。
2曲目の「Killer Smile」なんて、イギリスのハードロック・バンドGUNの1968年のヒット曲「悪魔天国(Race With The Devil)」そのもののフレーズでスタートし、UFOの「Prince Kajuku」そっくりのリフで腕を回し、Blue Oyster Cultの「7 Screaming Diz-Busters」のようなリズムで狂乱していると、GFRかFrijit Pinkのようなドラムで心拍数を上げてくれます。
続く「Ripped At The Seam」は、埃っぽい、The Human Beastの『Volume One』みたいな、煤けたギターソロが良い味を出しています。
4曲目は強力です。なんとEL&Pのファーストアルバムから「Knife Edge」をカバーです。
キース・エマーソンのようなキーボードが居る訳ではないので、プログレではなくひたすらハードロックです。
ドラムがAtomic Roosterの頃のCarl Palmerを彷彿させます。
このアルバム一番の聴き所が5曲目の「Lady Of The Lake」です。
ブルースロックから派生したハードロックというより、サイケデリック上がりのバンド、例えばUriah HeepやPink Fairies、Black Widowのような”半分だけブルースに足を突っ込んでいました”、みたいなところが何とも言えない魅力。
アコースティックな雰囲気で始まるこの曲で、覆面テストをブリティッシュ・ロックマニアにやると面白いような答えがいっぱい出てきそうです。
ほとんどの”人が聴いた事はあるけど、なんだったか思い出せない”と唸るでしょう。
結論としては、”誰の未発表曲なんだ!”に落ち着くと思います。
Wimple WinchやThe Open Mindを彷彿させるサイケとハードロックの中間にあるフレーズはマニアには何とも言えないでしょう。
途中のベースのブイブイ具合もたまりません。
突然Yesの「Roundabout」のようなリフで曲調を変えたり、女性の語りを加えたり、万華鏡のようにグルグル回転して行きます。
これは、Vertigoレーベルが出来る直前のFontanaレーベルの雰囲気です。
6曲目はTuff Tommyという1970年代のバンドの「You're Alright」をカバーしています。この曲は、映画”Skateboad Madness”で使われていたらしいです。
この辺りがこいつらのマニアっぷりを発揮!です。因に私はこの曲も、このバンドも全く知りませんでした。
7曲目「She Wants More」から8曲目「Tragedy Prevention」は、The Amboy Dukesの雰囲気になり、アルバム後半はイギリスよりもアメリカのハードロックに突入です。
ひたすら頭をかき乱し、ギンギンに腰を振らないと面白くないような展開です。
9曲目「Gold Lyre」は、Blue CheerやThe Other HalfにBloodrockを付け加えたような曲で、ただただ感心しちゃいます。
アルバム最後は「Monks On The Moon」で8分もあります。
アメリカやイギリスとは違う、日本のBlues CreationやFlower Traverin' BandといったバンドやジャーマンのBlackwater ParkやScorpionsの『Lonesome Crow 』といったハードロックの乗りです。
リズムの”もたつき感”が、なんとも不思議な魅力になっています。
こんな感じで全10曲、”今更ながら”って言わんばかりの大ハードロック大会のアルバムです。
何しろ、このアルバムを聴くと1970年代前後のハードロックを聴きたくなります。
それも、上に記したようなBlack Sabbathが登場する少し前のバンドばかりを。
5年後には、”マニアのみ知る!”的なアルバムになっているのかもしれません。
気になった人は、聴いてみて。
THE SHRINE / Primitive Blast
2012年の作品ですけど、昨年知ってよく聴いていました。
完全に、Black Flagです!。Circle Jerksでも良いかな。
いや、やっぱりBlack Flagです。それも『DAMAGED』までの。
こいつらも、Tee Peeです。その上スケボー野郎です。
ロスアンジェルスの3人組。元Black FlagのChuck Dukowskiが関わっているみたいです。
ハードロックをベースにした、ひたすら速い、バキバキのパンクロックです。
小難しい事を考える余地が全く無いほど、パワーで押しまくって来ます。
”最近のパンクは”などとほざいている輩は、さっさと、このアルバムを聴いてノックアウトされて下さい。
Lecherous Gaze / LECHEROUS GAZE
LECHEROUS GAZE(Tee Pee TPE-125)
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好色な眼差し
Hot Lunch、The Shrineと来たら、Lecherous Gazeは外せません。ファイル 34-9.jpg
好色な眼差し
EP作成時のメンバー写真
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現在のメンバー写真
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ライブ(後光が射しています)
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アルバムが出ていますが、まだ聴いていません。
2011年に出た4曲入りのEPを、昨年手に入れて聴いています(今は、ヴォーカルが替わっている)。
4人組のこのバンドも、サンフランシスコから登場しています。
ハードコア・パンクバンドAnnihilation Timeのメンバーが結成したバンドです。
”好色な眼差し(エロい目つき)”って言うバンド名だけあって、極めてストレートなハードロックをやっています。
ここまで、徹底してアメリカン・ハードロックをやられると痛快です。
アメリカンと言うものの、ブリティッシュ・ブルースロックに影響を受けたアメリカン・ハードロックバンドの雰囲気があります。
例えるならばBlackfootやLynyrd Skynyrdのサザン・テイストにJimi Hendrix ExperienceとJames GangとBlue Oyster Cultを混ぜ合わせたような音です。
本当に、ハードロックの美味しいところを全部かき集めて混ぜ合わせたら出来上がりみたいなところが有ります。
では、個性を感じないかといえば、まあ、そこそこ個性を感じる訳で、不思議なバンドです。
もっとも、BaronessやKylesa、Red Fangを聴いた後だと、レトロなロックなんですが、”今時ここまでやるか!”といった感じで、その首尾一貫ぶりに驚かされます。
最近、Tee Peeはなんか凄い事になっていて、Earthless(祝来日!)の新譜も出しているし、Harsh Tokeなんていうバンドも出しています。
日本の音楽誌では全く話題にもならないような連中がいるんです。
本当は、もっともっといろいろなバンドを紹介したかったけど、こんなところかな。
CREDIT: TAYLOW / the原爆オナニーズ