少し前に、東京で上映されたのだが、地方に住んでいるものには見ることが叶わなかっただけに、今回のDVD化は素直に嬉しい。
昨年、ほぼ一年間かけて、パンクの検証をしてみたのだが、まだまだ掘り下げてみたいことが多くて、”イギリスのパンク”と言っても、ロンドンと他の都市では状況が違っていることを知っているから、その辺りを一度書いてみたかった。
特に、北アイルランドは内紛でSEX PISTOLSが「Anarchy In The UK」で揚げているようにIRA(Irish Republican Army)やUDA(Ulster Defence Association)がイギリス国内で”ドンパチ”やっていたからね。。
Sham69が「Ulster」で歌っているように、"爆弾が背後で爆発"するような状況でパンクになった連中は、どのようなことを思っていたのか知りたいと思っていた。
Stiff Little Fingers
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ベルファスト出身
Stiff Little Fingers
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Alternative Ulster
(もう一つの北アイルランド)
The Undertones
ファイル 45-4.jpg
ロンドンデリー出身
The Undertones
ファイル 45-5.jpg
Teenage Kicksのオリジナル盤ジャケット(表)
The Undertones
ファイル 45-6.jpg
Teenage Kicksのオリジナル盤ジャケット(裏)
The Outcasts
ファイル 45-9.jpg
パンクからハードコアへ移行する時期な雰囲気
The Outcasts
ファイル 45-10.jpg
ファーストアルバムのジャケットはパンクそのもの
アイルランドのパンク・バンドと言えば、最初に思い出すのがThe Radiators From Space。ファイル 45-2.jpg
ベルファスト出身
Stiff Little Fingers
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Alternative Ulster
(もう一つの北アイルランド)
The Undertones
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ロンドンデリー出身
The Undertones
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Teenage Kicksのオリジナル盤ジャケット(表)
The Undertones
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Teenage Kicksのオリジナル盤ジャケット(裏)
The Outcasts
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パンクからハードコアへ移行する時期な雰囲気
The Outcasts
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ファーストアルバムのジャケットはパンクそのもの
彼等はダブリン出身だから、”イギリス”のバンドじゃない。
それなら次に思い当たるバンドのBoomtown Ratsも同じくダブリンだからアイルランドだ。
じゃあその次、The Undertones。
彼等は、ロンドンデリー出身だから、北アイルランドのバンドだ。
だから”イギリス”のバンドになる。
ここからは、連想ゲーム的に、The Undertonesの「Teenage Kicks」をリリースしたGoog Vibrationレコードのバンドを。
The Outcasts(ベルファスト)、RUDI(ベルファスト)、Protex(ベルファスト)、Victim(ベルファスト)と次々に名前が出てくる。
あれ?なんか忘れている。ベルファストと言えばStiff Little Fingersだよね。
まあ、こんな感じで、上述した北アイルランドのバンドが次々出てくるのが、『シェルショック・ロック』だ。
”パンクはいつ終わったか?”という問いに対して、”1978年の春先までに終わっていた”と以前書いたが、それはロンドンを中心とした音楽業界での話で、実際パンクは終わっていない。
この映画『シェルショック・ロック』は1978年秋~1979年春のベルファストを写している。
冒頭のインタビューで、”ロンドンではただの流行だった”パンクを””柵の向こう”の”宗派の違う連中と遊ぶ言い訳”としてパンクを使っていると話している。
この言葉がどれほどの重みを持つのか、宗教的な反目の無い日本に住んでいるものとしては理解の範囲を超えているが、北アイルランドに関する書物を読むと少しだけ理解が深まると思う。
このインタビューを受けて、ライブ映像で出てくるStiff Little Fingersの初々しさはこの時期ならではのものがある。
「Alternative Ulster」の説得力の凄まじさ。
ツアーを行うだけで”脅迫”を受ける。
”観客も恐怖を感じる”ような状況でライブを行っていることが伝わってくる。
この当時のパンク・ドキュメンタリーのお決まりの街頭インタビューは、お決まりの感じになっていて微笑ましい。
町外れの一軒家にバスに乗って来る、RUDIの練習風景は、ロンドンのパンク・バンドとは全く異なる環境だ。
Gang Of FourやPatric FitzgeraldやBig In Japanの7インチがディスプレイされている、Good Vibrationレコード(お店)が映し出されるのも、パンクファンには興味深い。
店主のTerri Hooleyが話す内容も、いかにして自分たちの手でレコードを作ることが出来るようになったのかを暴露していて面白い。
The Outcastsのレコーディング風景に続いて、ロンドンデリーのThe Undertonesのライブが出てくる。
小さなライブベニューでのアットホームな感じは、Stiff Little Fingersの映像とは別の空気が漂っている。
『シェルショック・ロック』は、面白いドキュメンタリーだ。
おそらく1979年じゃなければ出来ないような空気にあふれている。
ロンドンやグラスゴーやマンチェスターではなく、海を渡った北アイルランドに飛び火したパンクがどのようにして根付いて行ったのかがよく分かる。
今回、DVD化されたこの作品、ポリドールと契約してメジャーに行った後のProtexがNew YorkのHurrahで行ったライブの映像と1980年のThe Outcastsのライブドキュメント『Self Conscious Over You』も入っている。
特に、The Outcastsのライブ映像はファーストアルバムをリリースしてローカルヒーロだった時期だけに、結構面白い。
MCでジョン・ピールが出て来るあたりは、胸がキュンとしちゃう。
個人的な願望としては、The UndertonesのBBCドキュメンタリー「Here Comes The Summer」を一緒に見てもらえるとより理解が深まると思う。
CREDIT: TAYLOW / the原爆オナニーズ